「AIが自分で考えて作業する」——エージェントと呼ばれる仕組みです。実際に作って、人が書いた固定手順と比べました。結果は、同じでした。時間と費用だけが増えました。どこで効いて、どこで効かないのかを切り分けた事例です。
何を作ったか
URLを渡すと、AIが調べる項目を自分で選んで順に実行し、サイトの持ち主に分かる言葉で診断レポートにまとめる仕組みです。調べるのは7項目——表示の応答速度、SSL証明書の期限、ドメインの期限、SEOの基本設定、リンク切れ、法令表記の有無、セキュリティ設定。
数値はすべてプログラムが実測します。AIがするのは「どれを、どの順で調べるか」を決めることと、結果を平易な文章にまとめることだけです。
URLを渡すと自動でサイトを診断します。数値はプログラムが実測し、AIは段取りと要約だけを担当します。
対象は事前に許可したサイトのみ。それ以外は実行しません。
どの項目をどの順で調べるかをAIが判断します。(※今回の検証では、人が書いた固定手順と実質同じでした)
応答速度・SSL期限・ドメイン期限・SEO基本・リンク切れ・法令表記・セキュリティ設定を、プログラムが実際に測定します。
サイトの持ち主に分かる言葉でレポート化。数値そのものには触れさせません。
内容を人が確認してからお渡しします。
結果
自社5サイトを、2つのやり方で診断しました。道具もレポートの作り方も同じで、違うのは「調べる順番を誰が決めるか」だけです。
| 使った項目 | 所要時間 | 1回あたりの費用 | |
|---|---|---|---|
| 人が書いた固定手順 | 7項目 | 35.1秒 | 3.05円 |
| AIが決める(エージェント) | 7項目 | 67.0秒 | 5.95円 |
AIは5サイトすべてで、7項目を全部調べました(順番も5サイト中4サイトで完全に同じ)。検査そのものは両方式とも約14秒で、差の32秒はすべてAIが「次に何をするか」を考えていた時間です。つまりAIが決めた段取りは、人が書いた手順と実質同じで、そこに時間1.9倍・費用2.0倍を払っていたことになります。

AIは正しかった。間違っていたのは道具だった
診断が「このサイトに会社情報が見当たりません」と報告しました。しかし実際にはフッターに「運営者情報」があります。原因は判定に使う言葉で、「会社概要」「運営会社」「企業情報」しか探しておらず、「運営者情報」を拾えていなかったのです。
AIは、渡された結果を正確に伝えただけでした。「AIに数値を作らせない」を徹底しても、渡す数値が間違っていれば、正しく間違いを伝えます。確かめるべきはAIだけではありませんでした。
「AIエージェントを入れれば効率化できる」とは限りません。効く場面かどうかを、小さく作って測るところからご支援します。ご相談はお問い合わせから。
構成と計測条件
- エージェント基盤:Claude の tool use(項目の選択・実行順の決定)。数値は各チェックのプログラム実測で、AIは段取りと要約のみ。
- 比較:同じ7項目・同じ道具・同じレポート生成で、「順番を誰が決めるか」だけを変えた2方式。対象は自社5サイト(各方式1回=計10件)。
「調べる順番を誰が決めるか」だけを変えて2方式を比較。道具もレポートの作り方も同じです。
安全装置=対象・道具・回数・費用の4つを上限で固定(ホワイトリスト方式・拒否も記録)。対象サイトは読み取りのみ。差の32秒はAIが「次に何をするか」を考えていた時間で、検査時間ではありません。
暴走させないために先に決めたこと
| 調べてよいサイト | 許可リストで限定。それ以外は実行を拒否 |
| 使ってよい道具 | 許可リストで限定。AIが知らない名前を返しても動かない |
| 実行できる回数 | 1回の診断につき上限 |
| かけてよい費用 | 1回の診断につき上限+月額上限 |
| 記録 | 拒否した実行も記録(許可外を試したことが分かる) |
対象サイトには読み取りしかしません。負荷をかけないよう、リンク検査は件数を絞り、間隔を空けています。
数値は正しく伝わっていた
レポートに書かれた数値が実測値に含まれるかを機械照合しました。10件・151個すべてが実測値と一致し、AIが作った数値は1つもありませんでした(母数=5サイト×2方式の合計)。

学び
- エージェント化が効くかは、測らないと分からない。調べる項目が決まっていて、どの対象にも同じ手順が使える作業では、段取りをAIに任せる意味がありませんでした。
- AIが正しくても、道具が間違っていれば結果は間違う。検証はAIだけでは足りません。
- 止め方を先に決める。対象・道具・回数・費用の4つを決めてから動かしました。
ここは測っていない
- 「人が手作業で調べるより◯%速い」… 人が同じ7項目を手で調べる時間は測っていません(工数削減は主張しません)
- 表示速度(Lighthouse・Core Web Vitals)・表示崩れ検出 … 未実装。測ったのは1回の取得の応答時間だけです
- エージェントが「効く場面」… 効かない場面を測っただけで、効く場面は測っていません(推測を断定で書きません)
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